キリスト教やイスラム教。
仏教に世界最古のゾロアスター教。
世界中にある、いろいろな宗教。
日本に古くから伝わる神道と、いったい何が違うのでしょうか？
ヒントになるカギは『一神教と多神教』です。
この言葉を頼りに世界の宗教と神道の違いを、ひも解いていきましょう！
世界の宗教と神道の違い
まず結論からお話をすると、世界の宗教と神道の大きな違いは「寛容さ」です。
世界の宗教、特にキリスト教やイスラム教は一神教と呼ばれ、他の宗教の神様を認めません。
全知全能でオンリーワンの神様がすべてなのです。
しかし神道は一神教のまったく逆なんですね。
八百万の神がいると言われるように、ありとあらゆるものが神様の多神教なんです。
「イエス・キリストもお釈迦様も八百万の神々に加入させちゃおっか？」
と言えるくらい、ゆる〜い感じが世界の宗教と神道の大きな違いなんですね。
続いて一神教と多神教の違いについてご説明します。
一神教ってどんな宗教？
『一神教』とは読んで字のごとく、ひとつの神様を信じる宗教。
むしろひとつの神様しか信じてはいけません。
代表的なのが、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教ですね。
「うちの神様が絶対！ほかの宗教の神様はぜんぶ幻！」
というイケイケなスタイルが特徴的です。
ほかの宗教をすべて否定するので、「異教徒は敵だ！」といった差別意識が芽生えやすかったりします。
差別意識がきっかけで戦争になったりするのですから、困りものですね。
「一神教ってひどい宗教じゃないか！」
と思うかもしれませんが、「人間は神の下に平等だ」という教えがあることから、社会的弱者に対する慈善活動に熱心だったりするので、悪い宗教だと言い切ることはできません。
一神教について分かっていただけたでしょうか？次は多神教についてご説明しますね。
多神教ってどんな宗教？
「神様は、いつもひとつ！」
という一神教に対するのが『多神教』です。
これも読んで字のごとく、神様がたくさんいる宗教ですね。
オーディンやヴァルキューレが登場する北欧神話も多神教ですし、
破壊神シヴァなど変わった見た目の神様が多いヒンドゥー教も多神教です。
一神教の神様が「全知全能！なんでもできる！」といった正義のヒーロー感があるのに対して、多神教の神様は祟りや災いを起こす怖い存在という特徴があります。
以上が一神教と多神教についてのご説明です。
それでは神道は、いったいどちらなのでしょう？
神道はどっちなの？
日本に古くから伝わる神道は一神教と多神教、どちらなのでしょうか？
まず神道には八百万の神います。
はい、一神教では絶対にありませんね。
神道はバリバリの多神教で、山や岩、滝や川、はたまたお茶碗やトイレにも神様が宿っているという考え方をもっています。
また日本では大昔から信じられていますが、世界的にみたら少数派。
日本人くらいしか信じていない宗教なので民族宗教でもあるんです。
最後に世界の宗教と神道の違いをまとめますね。
教典・布教活動などほかにもあるこんな違い
一神教の宗教が神の教えをめ、 人を導くために布教活動や聖典(聖書やコーラン)などがあるならば、神道はその逆です。布教活動も聖典もありません、
よくよく考えると他の宗教が◯◯教ということに対して神道は「教」ではなく「道」であることからもわかるとおり、神に救いや教えをもらおうとするのではなく自分自身に問いかけをして、自分で解決していくという考えなんですね。
上記以外にも、信仰の主体が崇敬者側か教団側か、信仰形態が神道が依代信仰に対して他は偶像信仰などさまざまな違いがあります。
まとめ
一神教と多神教をカギに、世界の宗教と神道を比べてみました。
一覧にするとこんな感じ。
| 神道 | 一般宗教 | |
| 信仰対象 | 多神教(八百万の神) | 一神教(唯一神) |
| 教義・教典 | なし | あり(仏典・聖書) |
| 布教活動 | なし | あり |
| 信仰主体 | 崇敬者側 | 教団側 |
| 信仰形態 | 依代信仰 | 偶像信仰 |
神道とは、日本人による日本人のための、たくさんの神様がいる宗教です。
「イエス・キリストやお釈迦さまも八百万の神にいれちゃおう！」
と言えちゃうくらい、なんでもOKな柔軟性。
お茶碗やトイレにも神様が宿っていて、特定の神様を信じる人を差別することもない。
「これは宗教なの？」と思えるほどの寛容さが、世界の宗教と神道の大きな違いなんですね。
