御神体~神様にはいろいろなお姿があるって知ってる?
「日本には八百万(やおよろず)の神がいる」という言葉を聞いたことがありますか。
八百屋(やおや)さん「やお」です。
神様が8,000,000もいらっしゃるってこと・・・ではありませんよ。
さまざまな神様がたくさんいらっしゃることを意味します。
じゃ、こんなにたくさんの神様はどんなお姿なの?って疑問に思います。
ポケモンのようにいろいろなキャラクターがいるのかな?とか思うじゃないですか。
そうなんです!
どんなお姿があるの?と思ったら、ぜひ、この記事を読んでみてくださいね。
またみなさんもきっと聞いたことのある「三種の神器」も登場してきます。
三種の神器、言えますか?
今回の記事を読むことで神社の世界の神様の形が見えてきます。
えっ、これも神様だったの?と意外な発見があるかもしれませんよ。
御神体(ごしんたい)とは
神様はどんなお姿なの?ということですが、実は本当のお姿は目に見えないんです。
普段ははるか海の彼方にある「常世(とこよ)の国」からお祭りのたびにやってきて人々に幸福をもたらして、お祭りが終わると、再び元にいた常世の国へ帰っていくものと考えられたのです。
ウルトラマンは普段はM78星雲にいて、地上にピンチがあるとやってきて、怪獣を倒すと再びM78星雲に帰っていきますがまさにそれと同じです。
神様はあるところや物に「宿る」と考えられています。そして神様がいらっしゃるところや物のことをご神体(しんたい)というのです。
つまりウルトラマン(神)は科学特捜隊のハヤタ隊員やモロボシ・ダン隊員の身体に宿ってウルトラマンへと変身しますが、まさにウルトラマンが降り立つ場所(身体)である主人公、科学特捜隊のハヤタ隊員やモロボシ・ダン隊員が「ご神体」というワケなんです。
このご神体は神そのものでないのですが、そこへ神の霊が宿ると神そのものと同一になるのです。つまりご神体は依代(よりしろ)と考えられています。
※考え方として依代(よりしろ)以外にも御霊代(みたましろ) 御正体(ごしょうたい)、御体(ぎょたい)、霊御形(みたまのおがた)とも言われます。
たとえば、神社の建物の中で鏡を見たことがありませんか。鏡に神様がいらっしゃいます。鏡がご神体です。でも鏡そのものが神様というワケではありません。神社では「ご神体=神様をあらわす物」としておまつりしているんです。神様から授かったものをご神体とする神社もあります。
よく神社の一番大切な場所にご神体がまつられています。それは神様をお迎えするにふさわしくあるためです。神様はどんなものにも、どこにでも宿ると考えられていますが、人々がわざわざ神様をお迎えしようとするのに、そのへんの適当なところにお迎えするのは、失礼ですよね。だから神社ではしっかりとご神体をあがめてそこに神様をお迎えしようとするんです。
ご神体にはいろいろなものがあるんですよ。次はご神体の種類についてご紹介しますね。
御神体(しんたい)の種類
①つるぎ
剣や刀をご神体とする神社はたくさんあります。
特に有名なのが「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」です。これは三種の神器(さんしゅのじんぎ)の一つです。愛知県の熱田神宮(あつたじんぐう)のご神体としてまつられています。
三種の神器(さんしゅのじんぎ)って、なに?ってことなのですがとっても簡単に説明すると、天照大御神(あまてらすおおみかみ)という最高の神様からいただいた3つもののことです。代々、天皇の持つ物。つまり、とってもすごいもの!てこと。
この3つが何かは、この記事を全部読めばわかるから、がんばって読んでね。
日本神話で神が剣に姿を変えたという「布都御魂(ふつのみたま)」は、石上神宮(いそかみじんぐう)のご神体です。
<奈良県>石上神宮(いそかみじんぐう):「布都御魂(ふつのみたま)」
②勾玉(まがたま)
勾玉(まがたま)には不思議な力があって、悪いものをよせつけないために身につけたといわれています。曲がった形をしているので「まがたま」と呼ばれるという説があります。
三種の神器(さんしゅのじんぎ)の一つとなる八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)は皇居にまつられています。
③鏡
鏡は神社でよく見かけるかもしれません。一般的に太陽を表しているといわれています。太陽神である天照大御神(アマテラスオオミカミ)を最上の神様としておまつりするので、太陽を表す鏡をご神体としてまつります。
また、鏡に映った自分の姿から自分の行動を自覚するという意味もあるようです。
八咫鏡(やたのかがみ)は、伊勢神宮(いせじんぐう)の内宮(ないぐう)のご神体であり、三種の神器(さんしゅのじんぎ)の一つです。
<三重>伊勢神宮(いせじんぐう)の内宮(ないぐう)の「八咫鏡(やたのかがみ)」(イメージ)
④滝
滝がご神体といえば、和歌山県の熊野にある「那智(なち)の滝」です。
「那智(なち)の滝」がある飛瀧(ひろう)神社は神社の建物がありません。鳥居をくぐると、この滝があるんです。
「那智(なち)の滝」は滝つぼまでの落差が133mで、日本一の大きな滝です。当時の人々はこの滝を神様のように思ったのでしょう。
⑤山
昔から山は人々にたくさんの恵み(動物、山菜など)をくれるありがたい存在でした。日本のように山の多い国では、山をご神体とするのはとても自然なことかもしれませんね。
富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)は、名前のとおり富士山をご神体としています。日本一大きなご神体ですよね!
三輪山(みわやま)をご神体とする大神神社(おおみわじんじゃ)は、日本でもっとも古い神社のひとつです。
ご神体といってもさまざまありますね。ここでご紹介したもの以外にもご神体はさまざまです。次はご神体の代表格、三種の神器について紹介していきます。
三種の神器とは?
さてご神体そのものについてはここまででご紹介してきましたが、三種の神器について詳しく見ていきましょう。三種の神器とは国をおさめる正当性をほこるものです。「正当性をほこるもの?」ちょっとわかりにくいですよね。
水戸黄門も印籠をドヤって見せるだけで、水戸黄門の存在・権威を目の前のものたちに示すわけですが、三種の神器もそれをもっていること自体がこの国をおさめる資格を象徴させるものです。
では、この3つがなぜ特別な意味を持つのでしょうか。その起源についてお話ししておきましょう。
三種の神器の起源
太陽神アマテラスの弟スサノオが高天原という天上世界にいた頃の話。
荒々しい性格のスサノオはある日、神に捧げる布を織る神聖な建物の中に、皮をはいだ馬を投げ込みます。その結果、驚いた建物内の女のひとりが亡くなります。とんでもない設定ですね。
これにはさすがのスサノオの姉であるアマテラスも怒ってしまい、天岩戸に隠れてしまいます。
太陽の女神であるアマテラスが隠れると、世は闇に包まれ、数々の災いが起こりま す。
そこで人々は、八百万の神々が知恵を絞り、大芝居をうって、天岩戸からアマテラスを出てこさせようとします。
アメノウズメが裸になって踊り、神々はその様をみて大笑いします。
そのにぎやかさを不思議に思ったアマテラスが少し岩戸を開けたとき、鏡が差し出されます。鏡に映った自分の姿を見たアマテラスは別の神が現れたと思い、さらに岩戸を開けます。
そこで力持ちのアメノタジカラオがアマテラスの手を引き、外に連れ出して再びこの世に光が復活したのです。このときに祭具として用いられたのが鏡(八咫類)と八尺勾玉(八尺瓊勾玉) です。
これで三種の神器のうち2つが登場しました。最後の1つ剣ですが、剣はスサノオの話にからまります。
高天原を追放されたスサノオが、出雲に行きヤマタノオロチを退治したことは有名な話ですがこの時退治した大蛇の尾を割いたところヤマタノオロチの身体のなかから出てきたのが剣で、スサノオはこれをアマテラスに献上します。これが草薙剣:くさなぎのつるぎ
(天叢雲剣:あめのむらくものつるぎ)と呼ばれるものです。ドラゴンクエスト3をやったことがある人ならすんなりイメージできる場面です。
天叢雲剣と呼ばれるのは、大蛇のいる上に、常に雲の気が漂っていたからだといいます。また草薙剣と呼ばれるようになったのは、ヤマトタケルがこの剣を持って東征に出かけ、火で攻められたとき、草を薙いで防いだからというのが有力な言い伝えです。
さて、いよいよ神が地上に降り立つ際、 アマテラスは鏡を差し出して「この鏡を私の魂として、私を拝するようにまつりなさい」と告げ、八尺の勾玉、草薙剣とともに、孫にあたるニニギに授けます。この3つが三種の神器と呼ばれるものとなるのです。
このような伝えがあることから、単なる御神体とは違い、特別な意味を持つことになります。 アマテラスの子孫の証明、つまりは皇位継承のしるしとなるからです。ただ三種の神器がセットとして強く意識されたのは平安時代です。
三種の神器の所在ですが八尺勾玉は代々の天皇により継承され、今日に至っています。また、八咫鏡は伊勢神宮の、草薙剣は名古屋の熱田神宮の御神体となっています。
最後に、少しまとめてみてみましょうね。
まとめ
・ご神体とは:神様がいらっしゃるところや、物のこと=神様をあらわす物
神様から授かったもの。でも神様そのものではない。
・ご神体の種類
①つるぎ
②勾玉(まがたま)
③鏡
④滝
⑤山
などさまざま
・三種の神器=アマテラスの子孫の証明、皇位継承の証明
①草薙剣:くさなぎのつるぎ(熱田神宮)
②八咫鏡:やたのかがみ(伊勢神宮)
③八尺勾玉:やさかにのまがたま(代々の天皇家により継承)
その他にも石、岩、木などもご神体とされているんですよ。
いろいろなご神体がありますよね!
さまざまな神様のたくさんのお姿は日本人の自然への感謝の気持ちや、感性の豊かさを表すものかもしれません。そこには人々の深い思いや願いがこめられているのではないでしょうか。
みなさんも、ぜひ、ご神体を見たときには神様がそこに宿ると考えて思いを馳せてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。