きょうは神社の「社格」についてお伝えしていきたいと思います。
シャカク…?なにそれ、聞いたことないよ。って方多いですよね。
神社大好きで足を運ぶという方も社格という考えがあることは知らない人も多いはずです。
結論から言うと、社格というのはいわば神社ランキングのようなもの。企業が規模によって大企業や中小企業のように格付けされているように、神社にも格付けされていた時代があるのです。ちなみに現在は無いことになっています。
たった1回の高級ワインの味で一流芸能人かそれ以下か決めるようなテレビの世界ほどあいまいなものではありません。長い歴史のなかで育まれた考え方です。
今回は神社の格式ランキングである「社格」について紹介していきます。
社格は時代によって様々な格付けの種類が存在した
社格とは簡単に説明すると神社の格付けのことです。
社格には時代によって制度が存在し、以下の4つがあります。
・上古社格制度
社格の種類:天津社(あまつしゃ)、国津社(くにつしゃ)
・古代社格制度
社格の種類:式内社(しきないしゃ)、式外社(しきげしゃ)
・中世社格制度
社格の種類:一宮(いちのみや)、二十二社(にじゅうにしゃ)
・近代社格制度
社格の種類:官社(かんしゃ)、諸社(しょしゃ)、無格社(むかくしゃ)
この4つの社格制度について、それぞれ深掘りしていきましょう。
上古社格制度は信仰する神様によって2つに分かれた
上古社格制度とは「古事記」や「日本書紀」といった歴史書が登場する前に定められた社格制度のことです。
この社格制度では神様の信仰によって、天津社(あまつしゃ)と国津社(くにつしゃ)の2つに分けられました。
高天原(たかまがはら)と呼ばれる場所に存在した神々・天津神(あまつかみ)を信仰した神社は天津社(あまつしゃ)と呼ばれ、その国(地域)に存在した神々・国津神(くにつかみ)を信仰した神社は国津社(くにつしゃ)と呼ばれました。
ここは2パターンです。では次に平安時代にタイムスリップして見ていきましょう。
古代社格制度は延喜式により定められた
平安時代前期から平安時代中期に定められた社格制度を古代社格制度といいます。
この社格制度は「延喜式(えんぎしき)」と呼ばれる法令集によって、式内社(しきないしゃ)と式外社(しきげしゃ)に分類されました。
「延喜式(えんぎしき)」の中にある「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に掲載されている神社は式内社(しきないしゃ)=官社、掲載されていない神社は式外社(しきげしゃ)と呼ばれました。
とくに式内社(しきないしゃ)の方は格式の高い神社として定められていました。
ランクの高い格式を得られると幣帛(へいはく)と呼ばれる神様に収めるお供えものの待遇などがあったようです。
中世社格制度には一宮や二十二社と呼ばれる代表的な社格が存在
平安時代後期から登場した中世社格制度には一宮(いちのみや)や二十二社(にじゅうにしゃ)と呼ばれた代表的な社格がありました。
一宮(いちのみや)とは国で一番有力な神社のことで、二番目に有力な神社は二宮(にのみや)、三番目に有力な神社は三宮(さんのみや)と呼ばれていました。
当時の国司と呼ばれる朝廷から派遣された地方官は赴任してすぐに一宮(いちのみや)に参拝するよう義務付けられていたそうです。
現在でもこの名残で「一宮(いちのみや)や二宮(にのみや)」という地名は全国各地に残っています。みなさんの近くにもきっとあると思います。
そしてこの日本全国にある一宮の神社を巡って参拝・御朱印などをあつめる「一宮巡り」は今でも神社めぐりをする人々の中で根強い人気があります。みなさんもぜひご近所の一宮から神社めぐりをしてみるのもいいかもしれません。
もうひとつ、二十二社(明神二十二社)とは朝廷が定めた有力神社である22の神社のことで、その中でも格式の高い方から上七社、中七社、下八社のように社格が定められました。
代表的な二十二社には、伊勢神宮、石清水八幡宮、伏見稲荷大社、北野天満宮など一度は聞いたことのある神社が定められていました。
しかし、有名な神社である宇佐神宮や太宰府天満宮は二十二社に含まれていませんでした。
有名な神社にもかかわらず、なぜ二十二社に含まれていなかったのでしょうか?
その理由は朝廷が京都にあり二十二社が近畿地方の神社のみに定められた社格であったためです。
そうした理由から京都府にある伊勢神宮や石清水八幡宮は二十二社ですが、宇佐神宮は大分県、太宰府は福岡県にあるため二十二社ではありませんでした。
近代社格制度は3種類に分類された
近代社格制度は明治時代から第二次世界大戦が終わるまでの長期間にわたって定められた社格制度です。
近代社格制度は官社(かんしゃ)、諸社(しょしゃ)、無格社(むかくしゃ)の3つに大きく分類されました。
皇室から神に献上する供物を頂いた格式の高い神社を官社(かんしゃ)、それ以外の社格をもつ多くの神社のことは諸社(しょしゃ)と呼ばれていました。
無格社(むかくしゃ)とは社格をもたない神社のことで、近代社格制度では格式の高い方から官社(かんしゃ)、諸社(しょしゃ)、無格社(むかくしゃ)と格付けされていました。
ちなみに伊勢神宮は「すべての神社の上に存在する社格のない神社」としてこの時代では位置付けされていました。
現在は社格制度は廃止されている
社格制度は第二次世界大戦後のGHQによる神道指令によって1946年に廃止されたため、現在は社格制度はありません。
社格制度が廃止された理由は日本がアメリカに占領され、政治と宗教が切り離されたことが関係しています。
現在では伊勢神宮を特別な存在として、それ以外すべての神社は同等という考えを敷いています。
まとめ
今回は社格について紹介しました。
時代ごとに様々な方法で神社の格付けはおこなわれていましたが、基本的に現代では社格制度は存在しません。
しかし、現代には当時の社格制度で定められた全国の一宮を参拝する「一宮巡り」と呼ばれる巡礼方法が存在します。「一宮巡り」は巡礼する順番が決まっていないため、有名な神社から巡るのか、それとも近場の神社から巡るのかは個人の自由です。
神社をめぐる旅の目的地を決めるひとつにこの社格を目指して巡ってみるというのも面白いかもしれませんね。
ぜひ御朱印帳を持って神社を訪れてみてください!
こんなもの見つけました。一宮めぐり専用の御朱印帳です。全国の一宮108社に対応する108ページ蛇腹折り仕立ての御朱印帳で表紙は天然木製。表題文字は木の風合いを生かしたレーザー彫刻で仕上げているそうです。これは一宮巡りに気合が入りそうですね。すごい、、
それではまた別の記事でお会いしましょう~!
最後まで読んでいただきありがとうございました。